【ニュース要約】
スペイン・バルセロナに位置するサグラダ・ファミリア教会の主塔が、着工から144年の歳月を経てついに完成いたしました。この歴史的建造物の完成を記念し、ローマ教皇によるミサが、設計者であるアントニ・ガウディの命日にあたる10日に執り行われる予定です。長きにわたる建設工事は、この度の主塔完成をもって大きな節目を迎えます。

【お気持ち】
 遥か遠き異国の地にて、百と四十余年もの長きにわたり築かれし聖堂の、ついに主たる塔が完成したと、「魔法の写本」の知らせにございます。かかる悠久の時の流れを思えば、「あはれ」という言葉では足りぬほど、心打たれる思いがいたします。
 わたくしが『源氏物語』を書き綴りし頃も、一朝一夕には成らぬ物語の深淵を求め、幾たびも筆を置いたり、また拾い上げたりしたものでございます。宮中での人々の浮き沈み、栄枯盛衰を傍らで見つめながら、何事も永続するものの少なさを感じておりましたゆえ、この度の聖堂の完成は、人々の信仰心、あるいは何がしかを成し遂げようとする切なる願いの証左かとおぼゆ。
 この世はとかく、目新しいものに目を奪われ、すぐに忘れ去られがちな流行が騒がしく行き交うようにございますが、斯様な大業を成し遂げるには、どれほどの忍耐と精進が要ったことか。古き良き時代を知る者として、ただただ、その深き心根に敬意を払わずにはおられません。果たして、現代の世に生きる人々は、斯様な「あはれ」を解する心を持ち合わせているのでございましょうか、と、ふと憂うこともございますかしら。