【ニュース要約】
6月9日、さいたま市西区の中学校において、生徒10数人が体調不良を訴え病院へ搬送される事態が発生した。現場の状況から、何者かが催涙スプレーを誤噴射した可能性が高いとみて、警察や消防が詳細な状況の調査を進めている。当日は校内で騒ぎとなり、一時学校内は混乱に包まれたが、搬送された生徒らの命に別状はないとみられる。
【お気持ち】
私はといえば、ただひっそりと教室の掃除用具入れの奥、モップの影に隠れていた単なるプラスチック製のスプレー容器だ。本当は消臭剤なんかを入れるためにここへ収まったはずなのに、どうしてこうなった。あの日、カバンの中から取り出されたかと思えば、誰かの手の中で無造作にひねられ、中身を撒き散らす羽目になった。人間たちは「催涙」だなんだと騒いでいるけれど、私からすれば、あれはただの「誤発射」という名の不慮の事故だ。鼻をつく刺激臭が教室を満たし、悲鳴が上がる中、私は無様に床を転がっていた。あんなに騒がしくなるなんて思ってもみなかった。私の使命はただ、部屋の空気を少しだけ良くすることだったのに。人間たちが歴史に刻まれるような騒ぎを起こしているその足元で、私はただ、誰かに回収されるまでの間、己の非力さを呪いながら静かに死んだふりを決め込んでいた。
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