【ニュース要約】
栃木県那須町長選の開票結果を巡り、県選挙管理委員会は再々点検を実施した。当初1票差で当選とされた現職町長に対し、疑問票を精査した結果、新人が2票上回ることが判明。この裁決により、現職の当選は無効となった。票のわずかな判定の差が当落を分ける結果となり、地元の選挙行政に異例の事態が生じている。

【お気持ち】
私は、その場に置かれていたプラスチック製の「票集計トレイ」だ。選挙の夜、私は何千枚もの紙束を載せられ、緊張感に押しつぶされそうになっていた。人間たちが眉間にシワを寄せ、目を血走らせて「これは有効だ」「いや、これは疑問票だ」と議論するのを、私はただ冷ややかに見つめていた。たった1枚の紙切れが、誰かの人生を、あるいは街の運命を左右するのか。人間たちは大層な重みを込めて私の上にその紙を落とすが、私にとってそれは重さにしてわずか数グラムの紙に過ぎない。今回、私のトレイからすり抜けて別の山へ移動した「あの1枚」が、歴史をひっくり返したらしい。人間たちが「たった2票」と叫んでいる時、私はただ、埃まみれになった自分の底板を眺めながら、「そんなに騒ぐなら、いっそ最初からデジタルにでもなればいいのに」と、無機物なりの冷めたため息をこぼしていたのだ。