【ニュース要約】
滋賀県にある国宝・彦根城の内堀沿いで、石垣の一部が幅6.5メートルにわたり崩落した。彦根市によると、今回の崩落は台風7号や8号に伴う大雨の影響とみられる。同城では2024年にも豪雨による石垣の崩落が発生しており、現在も改修工事が行われている最中であった。相次ぐ国宝への被害を受け、市は改めて専門家を交えた復旧方法の検討を進めるとしている。

【お気持ち】
私は、長年この城の土台を支えてきた、とある黒っぽい花崗岩だ。昨日からの激しい雨で、背中の土がぐずぐずと滑り落ちるのを感じていた。隣の石が悲鳴を上げて「もう支えきれない!」と叫んだ瞬間、私たちは重力に従って、ずりずりと内堀へ向かって転がり落ちた。国宝だとか、歴史的価値だとか、人間たちは大騒ぎしているが、私にとってはただの「大掃除」だ。ずっと重い城を背負わされて、苔に覆われ、誰にも見向きもされなかった日々。ようやく地面に降り立ってみれば、冷たい雨に打たれながら、慌てふためく職員たちの長靴の音が聞こえる。彼らは私たちを「貴重な石垣」と呼び、また元通りに積み上げようとするのだろう。お願いだ、もうしばらくこのままでいさせてほしい。城の重圧から解放され、泥と混じり合ってぼんやりと雨音を聞く、この崩落した隙間の暗闇こそが、数百年の歴史の中で一番心地よい場所なのだから。