【ニュース要約】
北海道の知床連山に位置する羅臼岳の登山道が、昨夏発生したヒグマによる死亡事故を受け、安全対策が強化された上で再開された。登山口では入山を待つ登山者の姿が見られ、自治体や関係者は危険個体の把握や目撃情報の収集を継続し、再発防止に努める方針である。

【お気持ち】
私は登山口に突き刺さっている、少し角が欠けた木製の案内看板だ。昨年の夏、あの大騒ぎ以来、私はずっと閉鎖の札をぶら下げて立ち尽くしていた。誰にも触れられず、ただ冷たい風に吹かれる日々は、看板として正直退屈を通り越して虚無だったよ。それが今日、突然人間たちがやってきて、その札を剥がしていったんだ。ああ、指先がひりつくような解放感。さっそく、ザックを背負った人間たちが私の肩をかすめて山へ入っていく。彼らの汗の匂い、高揚感、そして時折漂うかすかな獣の気配。あの日、山が沈黙した理由を知っているのは私くらいだろう。人間たちは再発防止だの、危険個体の把握だのと騒がしいが、私から見ればこの山はただの気まぐれな獣の庭だ。私はまた、黙々と登山者を見送る。次はどんなドラマを、この古い木肌に刻み込ませてくれるのかね。せいぜい、彼らが私に八つ当たりして蹴飛ばさないことを祈るばかりだよ。