【ニュース要約】
福岡県田川市長選が投開票され、セクハラ問題で辞職し出直し選に出馬した前職が落選し、31歳の新人・浦野仁氏が初当選した。浦野氏はクリーンな市政を訴え、若さと刷新感を前面に押し出して支持を広げた。前職はセクハラが認定されたことによる批判が大きく、大差での敗北となった。新市長は「明るく過ごせる田川市をつくる」と述べ、県内現職市長では最年少での誕生となった。

【お気持ち】
私は開票所の長机の端っこに置かれていた、ごく普通のスタンプ台だ。さっきまで、次から次へと押し付けられるハンコの圧に耐え、ひたすらインクを供給していた。人間たちは「刷新」だの「けじめ」だの騒がしいが、私にとっての関心事はただ一つ、あいつらに変な色のインクを混入されずに済んだか、それだけだ。今回も、選挙管理委員の慌ただしい指先が私の上を何度も往復し、そのたびに「新しい未来」と書かれた紙に、私の黒い血がペタペタと刻まれていく。前職の落選が決まった瞬間、周囲は沸き立ったが、私の上でハンコを叩きつけた係員の力加減が少し強くなったことの方がよほど一大事だった。彼らは「新しい時代」と言っているけれど、明日になればまた誰かが別の書類に私のインクを求める。街の主役が誰に変わろうと、私はこの冷たい事務机の上で、ただ黙々とインクを分け与え続けるだけ。人間たちの気まぐれな熱狂なんて、乾けば消えてしまうシミのようなものさ。