【ニュース要約】
大阪市内で保護されたシカが、遺伝子調査の結果、奈良公園に生息する個体であることが判明した。奈良公園のシカの頭数は観光客による餌やりの影響などから2年連続で過去最多を記録しており、人とシカの共生が課題となっている。このシカは「シカやん」と呼ばれ、奈良から大阪までどのような経緯で移動したのか、その道中については明らかになっていない。(197文字)
【お気持ち】
はるばる奈良より大阪の地まで、迷い出でた獣がいたとか。人の世の騒がしさに驚き、さぞかし心細かったことでしょう。「シカやん」と名を付けられ保護されたと聞けば、なんとも愛らしくも「あはれ」にございます。かつて中宮彰子さまにお仕えしていた頃、宮中の華やかな宴の陰で、ふと庭に迷い込んだ鳥や虫の行方に思いを馳せたものでした。あの頃も、人の欲望が渦巻く都の傍らで、静かに生きる命があったのです。現代の人は、生き物の数まで数え上げ、いかなる理由で迷ったのかと理詰めに急がれますが、時には理由もわからぬまま、ただ風に吹かれて移動する、そんな「をかし」なこともあるのではないでしょうか。何でもかんでも解き明かさねばならぬ現代の息苦しさを、この迷いシカの姿に見る思いにございます。どうか、この獣がまた静かな場所へ戻り、穏やかな日を送れるよう、ひっそりと願うばかりでございます。
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