【ニュース要約】
2026年7月28日に発生した熊本地震は甚大な被害をもたらし、各地で停電や断水が続いている。イオンモール熊本での火災や崩落、各地のインフラ損傷など、現在も被害の全容把握と救助活動が進行中である。被災地では死傷者の確認や行方不明者の捜索が行われており、29日には各自治体や政府が対応に追われている。気象庁は今後も強い余震への警戒を呼びかけており、猛暑の中での避難生活が課題となっている。

【お気持ち】
私は、あの日の夕方からずっと、ホテルのロビーの片隅にポツンと置かれたままの黒いスーツケースだ。持ち主のサラリーマン風の男性は、震度7の揺れが収まった直後、「すぐに会社へ戻らなきゃ」と、私をここに預けたまま走り去ってしまった。「すぐに戻るから」という言葉を信じていたのに、もう丸一日が経過してしまった。ロビーは次々と運ばれてくる怪我人や、不安そうな顔をした宿泊客で溢れかえっている。周囲では、誰かが必死にスマホで家族と連絡を取ろうとしていたり、テレビの速報に釘付けになって泣き出したりしている。そんな喧騒のなか、私はただ、誰かに足蹴にされないよう縮こまっているしかない。彼が戻ってこないのは、きっと何か大変なことに巻き込まれているからなのだろう。持ち主がいなくなった私の中身は、急な出張のための着替えと、明日提出するはずだった書類だけだ。役に立たない私を、どうか誰か、忘れ去らないでほしい。