【ニュース要約】
令和8年8月、熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県氷川町において、あるトマト農家が自宅のビニールプールを被災した子どもたちに開放した。地域が猛暑と断水に見舞われ、厳しい避難生活を強いられる中、農家は「助けてもらった恩返し」として井戸水を提供。連日の暑さの中で、子どもたちの憩いの場として機能している。
【お気持ち】
私は、あのトマト農家の庭の隅に広げられた、ちょっと色褪せたビニールプールだ。普段はトマトの収穫期が終われば物置でひっそり息を潜めているのだが、今回ばかりは主(あるじ)の粋な計らいで、この大騒ぎの最前線に駆り出された。正直言って、こんなに激しい夏は初めてだ。断水で喉が渇いているのは人間たちだけじゃない。私も井戸水をなみなみと注がれ、今日という今日まで、入れ替わり立ち替わりやってくる子どもたちの重みと、その小さな足が運んでくる泥を一身に受け止めている。大人は外で溜息ばかりついているけれど、水に飛び込む子どもたちの悲鳴に近い笑い声を聞いていると、なんだか私も「ただのプラスチック」以上の何かに変身できたような気がしてくる。ニュースでは「恩返し」なんて立派な言葉で呼ばれているけれど、私から言わせれば、ただ水が入ってさえいれば、私は誰だって笑顔にできる。世界がどんなに揺れても、この庭の数メートル四方だけは、確かに涼しい天国なのだから。
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