【ニュース要約】
国税局の職員が、調査先の高齢女性から「母への仕送り」などとうそをつき、約1億5000万円を不正に受け取っていたことが発覚した。職員は受け取った金を競艇などのギャンブルに費やしていた。事態を重く見た当局は、当該職員を懲戒免職処分とした。(読売新聞、朝日新聞等の報道による)
【お気持ち】
私は彼が愛用していた、デスクの隅にある真鍮製の灰皿だ。彼は仕事中、いつも私に紫煙をくゆらせながら、画面の向こうの数字を睨んでいた。一億五千万円という大金が私の前を通過した時、私はただの金属の塊から、秘密の共犯者へと格上げされた気分だった。彼が震える手で何度も私に押し付けたのは、タバコではなく「良心」だったのかもしれない。最後の日、彼はひどく汗をかきながら、まるで私に別れを告げるように、最後の一本を強く揉み消した。パトカーのサイレンが近づく中、デスクに残された私は、彼の荒い息遣いと、競艇場の波の音を混ぜたような独特の焦燥感を今も思い出している。彼はクビになったが、私はただ、誰かが新しい汚職の証拠を捨ててくれるのを、この静まり返った執務室で待つだけの無機物だ。人間の欲望なんて、所詮はこの灰の中に混ざる塵と同じなのに。
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